燃え尽き症候群と不眠症の関係性
燃え尽き症候群と不眠症の間には強い相関関係があると示されていますが、この関係性をコントロールする方法はまだ示されていません。近年、不眠症で悩む方は多く、社会人の半数近くは睡眠に関して何らかの問題を抱えているとも言われています。
不眠症は、眠りにつく、睡眠を維持する、または早期覚醒への問題の経験として定義されています。これらの症状は、注意障害、集中力の問題、仕事のパフォーマンスの妨げなど、日常生活に影響を与えます。医学的または精神的な障害が現れる前の兆候として、不眠症が現れることがあります。不眠症が原因でうつや自殺になどに発展することもあり、人命を守るため、社会的にも重要な課題です。不眠症の原因として、職業上のストレスや身体的な健康状態の変化が挙げられています。さらに、不眠症の有無は労働時間の維持や離職率にも関係があると言われています。一個人としても大きな問題ですが、会社や雇用といった社会的な構造上も全く無視できない問題ということです。
さて、今回ご紹介する論文において、Salineroらは感情的な疲労と不眠症との関係性を調査しました。823名の様々な職位の方を対象とし、Googleフォームを用いてアンケート形式でデータを収集しました。結果、「感情的な疲労」は、不眠症と直接的な関係があったようです。以前Wandらが2020年に示したように、仕事で疲労困憊し、その上で感情的な負荷がかかる要求を受けたとき、人間はバーンアウトする傾向にあるようです。確かに徹夜仕事を終えたあと、理不尽な要求をされたら、誰だって気が滅入りますよね。
世の中には様々な仕事があり、そして社会は動き続けています。その中の雇用のあり方として、身体的な負荷と精神的な負荷のバランスやスケジュールの調整によって、多くの方が健康に働けることを願ってやみません。
当院では休職・復職プロセスに関わった経験のある産業医や日本睡眠学会認定 睡眠専門医が複数在籍しております。睡眠に関してお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
引用: Sleep and Biological Rhythms , 2023; 21:13–21