概要
不眠症は、現代社会において最も多い睡眠障害の一つです。本邦において、一般市民を対象とした疫学調査によれば、成人の約20%が不眠に悩まされていると報告されています。 大まかに分けて、一時的なものと、慢性的なものとに分類されます。代表的な症状として、寝つきの悪さ、途中で目が覚めてしまう、朝早く目が覚めてしまうなどといった症状が見られます。これらは患者さんの生活環境、習慣、お仕事など様々な要因が複合的に関与していることが多く、丁寧な問診と適切な睡眠環境の整備が重要です。睡眠と一見関係なさそうな習慣、持病、環境が睡眠に影響を与えることは少なくありません。
原因
不眠症になる原因は、ストレス、不安、うつ病、生活習慣などさまざまです。例えば、カフェインやアルコールの摂取、寝る前の電子機器の使用、不規則な睡眠スケジュールなどは、すべて不眠症の原因となり得ます。さらに、慢性疼痛、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群などの基礎疾患も不眠症の原因となることがあります。また、とても辛い出来事があったのならば、こころの状況が回復するまで、しばらく眠れない日々が続くこともあるでしょう。
治療
不眠症の治療は決して簡単ではありませんが、可能です。
不眠症の治療の第一歩は、何故眠ることが難しいのか、医師とのコミュニケーションを進めながら、根本的な原因を特定し、対処方法を考える事です。カフェインやアルコールの摂取が原因であれば、その量や時刻、頻度などを調整する必要があります。睡眠は毎日訪れるイベントですので、あまり無理や我慢を強いるのは良くありません。また、寝室の環境整備を進め、眠り易い、あるいは途中で起きにくい環境を作ることも重要です。
こういった調整を進めてもなお十分な睡眠が取れないときは、睡眠薬の処方が必要かもしれません。睡眠薬と聞くと、少し心配になる方もいらっしゃるかもしれません。お薬が止められなくなるんじゃないか、依存してしまうのではないか、といったご不安な声をしばしばお聞きします。当院では適切な量・種類の治療薬を選択し、患者さんのライフスタイルを理解した上で、継続可能な不眠症治療を目指しております。