概要 

 睡眠は大きくnon-REM睡眠、REM睡眠に分けられます。REM睡眠行動障害は、本来筋肉がだらりと緩むはずのREM睡眠中に寝ぼけや歩行する、殴る、暴れるなどの行動を起こす病気です。そのため、パートナーの方と一緒に寝ている場合、無意識のうちに危害を加えてしまう可能性があります。また一人で寝ている場合でも、壁など周囲の構造物を殴ってしまい、怪我をする方もいらっしゃいます。
 終夜睡眠ポリグラフ検査で実際に睡眠している状態の脳波や行動をモニタリングしたり、問診やパートナーの方の情報をもとに診断を進めます。
 
<代表的な症状>
・睡眠中に、夢の内容と一致した行動をとってしまう。
 (例:口論する・殴る・蹴る)
・途中で起こされると、夢の内容を思い出す事ができる。

原因

 REM睡眠行動障害の正確な原因は不明ですが、過去のアンケート調査によると、1万人の一般市民において400名程度(0.4%)程度はレム睡眠中の異常行動を起こしたことがあると回答したと報告されています。通常REM睡眠中は、脳から筋肉への運動指令が遮断されるはずであり、ここの調整機構が不具合をきたしているのであろうと考えられています。
 また、REM睡眠行動障害はパーキンソン病レビー小体型認知症脊髄小脳変性症シャイドレーガー症候群など、脳神経疾患の前駆症状である可能性が報告されており、注意が必要です。

検査

 REM睡眠行動障害の診断には、終夜ポリソムノグラフィ検査で実際に脳波を測定しながら睡眠中の四肢の動きを観察する事が重要です。当院は睡眠専門医療機関ですので、診断経験が豊富です。お困りの方はお気軽にご相談ください。

治療

 REM睡眠行動障害には、薬物療法や行動療法などの治療法があります。薬物療法としては、クロナゼパムやプラミペキソールなどの薬を処方することがあります。また、行動療法としては、睡眠時間を一定に保つ、アルコールの摂取を避ける、睡眠環境を整備するなどといった試みが、症状を軽減させる可能性があります。患者さんそれぞれの勤務形態や趣味、ライフスタイルによって、修正すべきポイントは異なります。ご自身の生活をより良いものにするため、お気軽にご相談ください。